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突然の死別による法的手続き

弁護士 坂本志乃

配偶者が突然亡くなったとき、深い悲しみと混乱のなか、お葬式の準備をしなければなりません。さらに配偶者が亡くなったことで期限内に済ませておかなければならない法的な手続きがあります。今回は配偶者が突然亡くなったときの法的手続きについてお話します。

1.すぐにすべきこと
配偶者が亡くなったとき、まずは病院から死亡診断書または警察から死体検案書を受け取り、亡くなった配偶者(故人)の本籍地、死亡地又はあなたの所在地の市町村役場に死亡届の提出と埋火葬許可申請を行う必要があります。
死亡届は、配偶者の死亡後7日以内に提出する必要があります。死亡届を期限内に提出しなかった場合、葬儀や埋葬が出来なかったり、健康保険や住民票の手続が出来なくなったりします。

2.次にすること
 14日以内に故人の①国民健康保険の資格喪失届出、②国民年金の資格喪失届出、③世帯主の変更を行う必要があります。国民健康保険以外の健康保険や厚生年金の資格喪失届出は、故人の勤めていた会社が行います。なお、故人が年金を受けとっていた場合は、年金事務所に年金受給権者死亡届を提出する必要があります。
金融機関や生命保険会社への手続きの際、故人の死亡を証明する資料として、住民票の除票が必要となることが多いので、市町村役場で取得してください。
 また、死亡後2年以内と期限が長いため忘れがちですが、故人が①国民年金の加入者であった場合は、国民年金の加入期間が3年以上で、老齢基礎年金や障害基礎年金が受給されずに亡くなったのであれば、死亡一時金請求や②国民健康保険以外の健康保険の加入者であった場合(資格喪失後も一定の場合には)は、故人が生計を維持していれば,埋葬を行った際の埋葬料の請求ができます。
 
3.今後の生活のために
故人が国民年金や厚生年金の保険料を支払っている期間に亡くなったとき、18歳未満の子どもがいる場合、残された配偶者は年金事務所に申請し、子が18歳になった年の年度末まで遺族基礎年金の受給ができます(遺族厚生年金は一生涯受け取れます)。
遺族年金が低額である場合などの所得制限はありますが、福岡市では児童扶養手当、母子父子寡婦福祉資金貸付金、ひとり親家庭等日常生活支援事業等のひとり親家庭を対象にした補助を受けることもできます。
また、ひとり親家庭医療費助成制度を利用すれば、医療費の自己負担を抑えることができます。

この記事を書いた人

 

弁護士 坂本志乃 弁護士法人菰田総合法律事務所

 

福岡県福岡市出身。九州大学法科大学院修了後、2016年弁護士登録。同年に弁護士法人菰田総合法律事務所入所。入所当初から離婚や相続等の家事事件を中心に経験を積み、中小企業支援に業務分野を広げ、現在は企業労務に注力している。