コラム 離婚・再婚 ひとり親の生活

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親権とは?親権者の変更について

弁護士 坂本志乃

お子さんがいる夫婦が離婚する場合に、争点となりやすいのが親権です。
そもそも、親権とは何でしょうか?また、離婚後に親権者が替わることもあるのでしょうか。

  1. 親権とは?

親権とは、未成年のこどもの利益のために、監護(こどもと一緒に住んで生活をすること)・教育を行ったり、こどもの財産を管理したりする権利義務をいいます。
父母の婚姻中は両親が共同で親権者となりますが、離婚する場合には、どちらかを親権者と決めければなりません。離婚届にも、どちらが親権者となるか記載する欄があり、これを記入しないと離婚届は受理されません。協議ではなく、調停や裁判で離婚をするときにも、親権者を決めてから離婚することになります。
裁判で親権が争点となった場合には、父母の事情(監護に関する意欲・能力、健康状態、経済状況、親族の援助等)とこどもの事情(年齢、性別、きょうだい、子の意向等)を考慮して、裁判所が親権者を決めます。
一般的に「母親が親権者になりやすい」と言われていますが、裁判所は現状を尊重する傾向にあります。例えば、離婚前から父親が中心的に育児を行っていて、夫婦の別居後もどもが父親と一緒に生活しているような場合であれば、父親が親権者となることも多く見られます。
もちろん、親権者でない親も、特別な事情(こどもへの暴力など)がなければ、こどもと面会交流をすることができるので、一切こどもと会えないというわけではありません。

  1. 親権者の変更

「離婚するとき、相手に言われるがまま親権を渡したけど、後悔している…」という方もおられるでしょう。
一度親権者を決めた後でも、家庭裁判所での手続(調停・審判)によって、親権者を変更することができます。
ただし、頻繁に親権者を変更するとなると、こどもの負担になるため、変更が認められるのは、こどもの利益のために必要な場合だけです。例えば、今の親権者がこどもに暴力を振るっている、養育環境が悪いなどのケースです。こども自身が親権者の変更を希望する場合もありますが、こどもの意思が尊重されるのは、中高生程度(ある程度判断能力のある年齢)からです(15歳以上のこどもについては、裁判所がこどもの意見を聴きとることになっています。)。
もし、父と母が話し合い、親権者を変更すると決めたとしても、家庭裁判所で手続を行わなければ変更することはできないため、注意が必要です。

この記事を書いた人

 

弁護士 坂本志乃 弁護士法人菰田総合法律事務所

 

福岡県福岡市出身。九州大学法科大学院修了後、2016年弁護士登録。同年に弁護士法人菰田総合法律事務所入所。入所当初から離婚や相続等の家事事件を中心に経験を積み、中小企業支援に業務分野を広げ、現在は企業労務に注力している。