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養育費や財産分与って、どう決めるの?

弁護士 坂本志乃

離婚をする際に養育費や財産分与をするということはよく耳にするかと思います。では、養育費と財産分与について、どのように決めるのでしょうか。今回は養育費と財産分与の決め方についてお伝えします。

1.養育費
養育費とは、子どもが経済的・社会的に自立するまでに要する費用のことです。
具体的には、子どもの食費、洋服代などの生活費、教育費、医療費などが対象となります。
では、具体的な養育費の金額やその他条件はどのように決めるのでしょうか。
養育費の金額やいつまで支払うか(例えば、大学を卒業するまで、20歳になるまでなど)をどのように決めるかについては、法律上の決まりはありません。そのため、当事者が話し合いをしてお互いに納得すれば、どのように決めても問題ありません。しかし、話し合いをすればよいと言われても相場が分からなければ、お互いに納得することは難しいでしょう。
このような場合は、裁判所が公表している「養育費算定表」を使うとよいでしょう。養育費算定表を使えば、夫婦それぞれの収入、子どもの人数や年齢に応じての妥当な養育費の金額を算定することができます。

2.財産分与
財産分与とは、夫婦が協力して築き上げてきた財産(これを「共有財産」といいます)を離婚の際に分け合う制度のことをいいます。
共有財産は、離婚時又は別居時に存在した財産のうち、その名義にかかわらず、実質的に夫婦の協力によって形成・維持されてきたといえるかどうかで判断します。例えば、持ち家の名義が夫婦どちらかの単独名義になっていたとしても、結婚してからの給与や夫婦二人の貯金で購入していたのであれば、共有財産にあたる可能性があります。また、将来もらえることが確実な夫婦一方の退職金も共有財産に含まれます。
一方で、結婚前から持っていた財産やどちらかの親や親族から相続した財産(このような財産を「特有財産」といいます)は共有財産に含まれません。
養育費と同様に、財産分与の方法についても特に法律で決められていないため、基本的に話し合いで決めることになります。
通常、財産の維持・形成に対する夫婦の貢献度は同じだと考えられているため、財産分与の割合は、基本的に2分の1です。そこから、財産形成の寄与度(夫婦の一方が会社役員や医師であった、自宅の購入資金に一方の結婚前の貯金が充てられているなど)を考慮して割合を修正して、具体的な内容を決めていくことになります。

この記事を書いた人

 

弁護士 坂本志乃 弁護士法人菰田総合法律事務所

 

福岡県福岡市出身。九州大学法科大学院修了後、2016年弁護士登録。同年に弁護士法人菰田総合法律事務所入所。入所当初から離婚や相続等の家事事件を中心に経験を積み、中小企業支援に業務分野を広げ、現在は企業労務に注力している。