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住宅を買うとき・借りるとき

弁護士 坂本志乃

住宅を購入するときには住宅ローンの審査があり、借りるときには入居審査があります。
では、ひとり親家庭で住宅ローンの審査や入居審査に通りにくいのでしょうか?
今回は、住宅を買うとき・借りるときについてお話させていただきます。

1.ひとり親家庭と住宅ローン
住宅ローンの審査基準は公表されているわけではありませんが、国土交通省の「令和4年度民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書」によると、9割以上の金融機関などが融資をおこなう際に考慮する項目として「年収」、「勤続年数」などを挙げています。
家族構成も審査基準として挙げられていることから、ひとり親家庭であることが全く影響しないとは言い切れませんが、安定した収入があり計画通りの返済が可能であれば、ひとり親家庭であっても住宅ローンを組むことはできます。
とはいっても、お子さんの月齢が低いとき、近くに子どもを預けられるような親族がおらず安定した収入がないことも考えられます。
その場合は、母子父子寡婦福祉資金貸付金制度を利用すれば、住宅購入資金の貸付けを受けることができます。連帯保証人の要否は福岡県内でも異なるため、お住まいの自治体で確認してください。

2.賃貸住宅の保証人
 住宅を賃貸する場合も、住宅ローンと同様にひとり親家庭であることから直ちに入居審査に通らないということはありません。
 入居審査でもやはり安定して賃料を支払えるか、が審査のポイントとなり、連帯保証人を求められることがあります。
 ひとり親家庭の方の中には、何らかの事情により連帯保証人を立てることができない場合もあると思います。その場合は、賃貸保証会社を利用することで連帯保証人が不要となります。もっとも、賃貸保証会社を利用するには、賃貸保証会社に保証料を支払わなければなりません。
さらに、賃貸保証会社にも審査があり一定の収入があることが求められます。児童扶養手当などの公的支援を受けていることは安定した収入を得ていることになるので、収入が安定しない場合は児童扶養手当などの申請をすることが考えられます。
 残念ながら、ひとり親家庭であることを理由に賃貸を断るオーナーさんもいます。ひとり親家庭であることで入居審査に通らない場合は、低所得者や高齢者、子育て世代を受け入れているセーフティネット住宅の利用を検討してみてはいかがでしょうか(セーフティネット住宅情報提供システム)。

この記事を書いた人

 

弁護士 坂本志乃 弁護士法人菰田総合法律事務所

 

福岡県福岡市出身。九州大学法科大学院修了後、2016年弁護士登録。同年に弁護士法人菰田総合法律事務所入所。入所当初から離婚や相続等の家事事件を中心に経験を積み、中小企業支援に業務分野を広げ、現在は企業労務に注力している。