コラム 心のケア 離婚・再婚

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子どもに離婚を伝えるときは?

医師 稲津佳世子 

子どもは年齢にかかわらず親が考える以上に繊細で、家族の変化に気が付いています。離婚を子どもに伝えるのは、親自身にとっても非常に難しいことですが、その後率直に話し合えるようになるということもあります。子どもの心のケアを考えた時、伝える際のポイントは以下の通りです。

 

1.適切なタイミングを選ぶ
子どもがリラックスしている時間を選び、急いで伝えず、十分な時間のある時に話しましょう。
 

2.感情を安定させる
親自身が冷静でいることが重要です。感情的になると、子どもに不安を与えてしまいます。穏やかな態度で話せば、子どもも安心しやすくなります。
 

3.誠実で正直な態度
子どもに対しては、年齢に応じた理解しやすい言葉で誠実に伝えましょう。ただし、過度な詳細や相手の悪口は控え、一緒に暮らせないことを子どもが理解しやすい範囲で話しましょう。
 

4.両親の愛情は変わらないことを強調
離婚しても両親の愛情が変わらないことを強調しましょう。「パパもママもあなたをとても愛している」といった言葉で安心させてあげてください。
 

5.具体的な生活の変化を伝える
離婚後の住む場所が変わる場合、学校や生活がどのように変わるのかを具体的に伝えましょう。友達との関係など、子どもにとって大切なことについて説明することが必要です。
 

6.子どもの感情を受け止める
話を聞いた子どもがどのような感情を抱いても、それを否定せずに受け止めることが大切です。泣く、怒る、混乱するなど、さまざまな反応があるでしょうが、すべて自然なことです。親も辛いでしょうが、黙って聞いてあげましょう。
 

7. 質問に答える
子どもが疑問や不安を感じたときに、丁寧に答えてあげることが大切です。わからないことがあれば、正直に「わからないけれど、一緒に考えよう」と伝える姿勢が信頼を築きます。
 

8. 専門家のサポートを利用する
小さな子どもは自分が悪いために両親が離婚したのではという自責感を持ったり、両親が仲直りする幻想を抱くことが多いようです。このようなときは時間をかけて解決していきます。不安定な状態が続くときは心理カウンセラーや精神科医などの専門家のサポートを受けることも有効です。


様々な事情で離婚となるため、上記に当てはまらない混乱した状態もあるでしょう。しかしながらできるだけ子どもの心の健康を最優先に考え、お子さんが安心して前に進めるよう、親としてのサポートを惜しまずにおこなえると良いですね。

 

この記事を書いた人

医師 稲津 佳世子 

九州大学医学部卒。精神保健指定医、日医認定産業医。特定非営利活動法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ・福岡理事。BPW(ビジネスプロフェッショナルウーマン)福岡クラブ「福岡虹の会」会員。
心療内科医として一般内科や緩和ケア病棟、空港検疫所で勤務。医療政策経営管理大学院を経て、大学講師の後、在宅訪問診療クリニックの院長に。精神科病院勤務を経て、現在は介護施設の施設長として高齢者の身体管理等に従事。人生全体を見渡す臨床経験と自らの離婚体験もあり、ひとり親のメンタルケアに携わっている。