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子どもの成長と自身のキャリアについて

弁護士 坂本志乃

ひとり親家庭にとって、キャリア形成は自身の成長だけでなく、子どもの未来を支える重要な課題です。以下では、子どもの成長に合わせた働き方や進学費用、生活の安定、そしてキャリアアップの相談窓口について解説します。

 

1.子どもの成長に合わせた働き方をどう実現させるか?
子どもの成長に伴い、親の働き方も考えなくてはなりません。未就学児がいる場合、保育園や幼稚園に通う間に働く時間を確保することが重要です。

子どもが小学校に入学すると、学校の行事や学習サポートが必要となります。特に、小学1年生の頃は親の手助けが多く求められるため、勤務時間の調整が必要になる場合もあります。また、学童保育を利用することも必要になるでしょう。

中学・高校生になると、未就学児や小学校と比較して手がかからなくなると思われるため働き方の選択肢は増えますが、子どもの進路選択について考えなくてはなりません。この時期は、子どもが自立するまでの過渡期として、親がどのように子どもと向き合いサポートするかが鍵となります。

いずれの段階でも、「育児と仕事の両立を図れるか」という点が重要になってきますが、テレワークやフレックス制度を利用することで、子どもとの時間を大切にしつつ、効率的に仕事をこなすことは可能です。また、近年ではフリーランス、在宅ワークやパートタイムの選択肢も増えていますので、より柔軟な働き方を実現できるのではないでしょうか。

 

2.子どもの進学に費用がかさむ年代は?
子どもの教育費は、小学校から中学校、高校、そして大学と進むにつれて増加します。教育費の一般的な目安は以下の通りです。この他にも、塾など学校以外の教育費用、受験費用、大学では私立の中でも文系か理系かによっても費用が変わります。

小学校:
学費:年間約35万円(公立)、約166万円(私立)
塾の費用:年間約20万円(公立)、約37万円(私立)

中学校:
学費:年間約53万円(公立)、約143万円(私立)
塾の費用:年間約35万円(公立)、約32万円(私立)

高校:
学費:年間約51万円(公立)、約105万円(私立)
塾の費用:年間約36万円(公立)、約44万円(私立)

大学:
学費:年間約80万円(国公立)、約147万円(私立)

※費用は一般的な目安であり、地域や学校によって異なります。
<参照元 文部科学省> 
・令和3年度子供の学習費調査
・国立大学と私立大学の授業料等の推移
・文部科学省 私立大学等の令和5年度入学者に係る学生納付金等調査結果について

 

この点、福岡では教育費を支援する様々な制度があります。例えば、福岡県では、返還が必要ではありますが貸与型の奨学金、返還不要な高等学校等就学支援金が提供されています。また、非課税世帯を対象として、授業料以外の教科書費等の教育費を支援する高校生等奨学給付金制度を設けています。

福岡市教育委員会では、福岡市内の小中学校に通学する子どもがいる経済的に困窮している家庭向けに「就学援助制度」として給食費等の補助が行われています。詳細な情報は福岡市の公式ウェブサイトや各学校の事務局への問い合わせ等で確認してみてください。

 

3.子どもの成長・教育費などを見据えてどのように生活を安定させればよいか?
子どもの教育費と生活の安定には、収入の安定化がどうしても重要になってきます。そこで、例えばですがパートタイムからフルタイムへの転換や、スキルアップによる昇進を目指すことが考えられます。

福岡市では、後でも説明しますがひとり親家庭向けの職業訓練プログラムや就職支援サービスも提供されており、これらを活用することで新たなキャリアパスを切り開くことが可能です。

また、別の視点だと、定期的な家計の見直しを行い、無駄な支出を削減することも重要です。例えば、食費や光熱費の見直し、不要なサブスクリプションサービスの解約など、小さな節約を積み重ねることも効果的でしょう。さらに、緊急時に備えるために、少額でも定期的に貯蓄を行うことも一つです。

 

4.自分自身のキャリアアップの相談窓口は?
ひとり親がキャリアアップを目指す際には、専門の相談窓口を活用することが効果的です。例えば、福岡市のひとり親家庭支援センターやハローワーク、キャリアカウンセリングサービスなど、多くの支援機関が存在します。これらの相談窓口では、職業訓練や資格取得の支援、就職活動のサポートなど、幅広いサービスが利用できます。

以前のコラム※でも紹介しましたが、福岡市のひとり親家庭支援センターでは、①就業相談、②就業支援講習会、③就業支援サービス、④無料職業紹介、⑤自立支援プログラムの策定といった支援を行っています。

 

【参考】コラム:就労支援ってどんなものがあるの?

 

ひとり親家庭に限らずですが、子どもの成長に合わせた柔軟な働き方や教育費の計画、生活の安定化は重要な問題です。また、自身のキャリアアップを図るために、福岡市の提供する各種相談窓口や支援制度を積極的に活用してみてください。

 

この記事を書いた人

弁護士 坂本志乃 弁護士法人Nexill&Partners (旧:弁護士法人菰田総合法律事務所)

福岡県福岡市出身。九州大学法科大学院修了後、2016年弁護士登録。同年に弁護士法人菰田総合法律事務所入所。入所当初から離婚や相続等の家事事件を中心に経験を積み、中小企業支援に業務分野を広げ、現在は企業労務に注力している。