コラム 支援・サポート ひとり親の生活

ページ番号:137

母子生活支援施設って何?

弁護士 坂本志乃

福岡市が発行する「ひとり親家庭ガイドブック(令和4年度版)」では、ひとり親に対する住居に関する制度として「母子生活支援施設」を案内しています。そもそも、母子生活支援施設とはどのような施設で、どのような場合に入居できるのでしょうか?

・母子生活支援施設とは
母子生活支援施設とは、18歳未満のこども(特別の事情がある場合には、例外的に入居中のこどもが満20歳になるまで)を育てている母子家庭、又は何らかの事情で離婚の届出ができない場合等、母子家庭に準ずる家庭のこどもと一緒に生活することができる施設です。
例えば、経済的に困窮している場合や夫からのDV(ドメスティックバイオレンス)から逃げてきた場合等が考えられます。なお、入居できるのは女性とそのこどもに限られるため、残念ながら父子家庭は入居することができません。
福岡市には、母子生活支援施設百道寮と室見寮があります。

・入るために必要な手続き・費用・利用期間等について
母子生活支援施設への入居を希望する場合、まずは住所地の管轄福祉事務所に相談してください。福祉事務所で、母子生活支援施設に入ることが適切と判断した場合、各施設に連絡をとって申込みを行うことができます。
入居が決まると、独立した部屋で生活することができます。施設によっては、家具家電といった必要な生活用品の貸出をしている場合があるので、入居する施設に尋ねてみてください。
なお、母子生活支援施設は無料ではなく、一定の費用がかかります。水道光熱費については実費負担、利用料は世帯所得に応じた金額となります。
利用期間について、こどもの年齢以外では特に制限はありません。退所時期の目安としては、利用者が抱える課題が解決でき、地域での生活が安定して送ることができる見込みができた時点と考えられています。

・利用期間中に行われる支援について
各施設には、利用者が自立に向けて抱える様々な悩みを相談できる職員がいますので、是非色々なことを相談してみてください。また、保育所に入所できない母子家庭のこどもに対して、施設の保育室で保育士を配置して保育を行っています。その他にも支援を行っている場合もありますので、入居する施設に尋ねてみてください。

この記事を書いた人

 

弁護士 坂本志乃 弁護士法人菰田総合法律事務所

 

福岡県福岡市出身。九州大学法科大学院修了後、2016年弁護士登録。同年に弁護士法人菰田総合法律事務所入所。入所当初から離婚や相続等の家事事件を中心に経験を積み、中小企業支援に業務分野を広げ、現在は企業労務に注力している。