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コラム 離婚・再婚

ページ番号:218

外国籍の方との離婚・再婚について

弁護士 坂本志乃

外国籍の方との離婚や再婚は、一般的な日本人同士の婚姻や離婚に比べて、法律や手続きが複雑であることが多く、慎重な対応が必要となります。今回は、外国籍のパートナーと離婚・再婚を考える際に知っておくべき重要なポイントについて詳しく解説します。

 

1.外国籍の人と離婚をする際に気を付けるべきこと
外国籍の配偶者との離婚は、国際的な法律が絡むため、通常の離婚手続きよりも複雑です。まず、日本法又は外国法のいずれが適用されるかが問題となります。日本人の配偶者が日本で生活している場合は、日本法が適用されることになります。

もっとも、日本法に則り離婚を成立させたとして、配偶者の本国でも有効となるかは別問題になります。例えば、日本では協議離婚が認められていますが、協議離婚が認められていない国もあります。そうなると、配偶者の本国では婚姻したままになってしまうため、別途裁判で離婚を成立させる必要があります。

また、詳細は割愛しますが、日本の裁判所に管轄が認められるかも別問題となります。
このように、国際離婚は複雑化しやすく、特に、子どもがいる場合には養育費や親権に関する問題も複雑化するため、離婚を考えている方は弁護士の助言をいち早く受けることをお勧めします。


2.離婚時のビザはどうなるのか?

外国籍の配偶者が「日本人の配偶者等」の在留資格で日本に滞在している場合、離婚が成立すると在留資格の根拠が失われます。ですので、離婚成立後14日以内に入国管理局に届出(これを「配偶者に関する届出」と呼びます)を行うとともに、配偶者が引き続き日本に滞在を希望する場合は、新たな在留資格を取得する必要があります。

たとえば、「定住者」や「技術・人文知識・国際業務」などの在留資格への変更を申請することが考えられます。

 

3.外国籍の人と再婚をする際に気を付けるべきこと
外国籍の人との再婚も法律や手続きが複雑となり、基本的に日本と外国の両方の手続きが必要となります。例えば、日本での手続きを先に行う場合、婚姻届とは別途配偶者となる人のパスポートや婚姻要件具備証明書等が必要です。詳細は各自治体の窓口に確認しましょう。

日本での手続きが終わると婚姻受理証明書が発行されますので、その他必要書類と一緒に、配偶者の国の大使館・領事館等に提出します。必要書類や提出先については国によって取扱いが異なるため、事前に確認が必要です。

また、再婚後の配偶者ビザの取得についても慎重に準備する必要があります。再婚相手が日本での長期滞在を希望する場合、ビザの申請手続きが必要となりますが、申請には婚姻が偽装結婚でないことや、経済的な基盤があることの証明が求められます。ビザの取得が難航する場合は、再婚後の生活に大きな影響がありますので、早めに対策をしましょう。

 


外国籍の人との離婚や再婚は、日本人同士の婚姻や離婚と比べて法律や手続きが複雑であるため、事前にしっかりと準備をすることが不可欠です。離婚時や再婚時のビザの状況、相手の本国での法的手続きなど、国際的な要素が絡むため、弁護士や行政書士等の助言を得ることが重要です。

特に、ビザの問題や子どもの養育費・親権に関する問題は慎重に対応しなければなりません。また、離婚後や再婚後に外国に住む場合も、現地での法的手続きやビザの取得について十分な準備が必要となります。手続きでお困りの方は、お早めに弁護士に相談しましょう。

 

この記事を書いた人

弁護士 坂本志乃 弁護士法人Nexill&Partners (旧:弁護士法人菰田総合法律事務所)

福岡県福岡市出身。九州大学法科大学院修了後、2016年弁護士登録。同年に弁護士法人菰田総合法律事務所入所。入所当初から離婚や相続等の家事事件を中心に経験を積み、中小企業支援に業務分野を広げ、現在は企業労務に注力している。