2023.03.03
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養育費ってどう決めるの?支払ってもらえないときの解決方法
ひとり親家庭の方にとって、養育費というのは気になる問題ですよね。
・養育費はいつ決める?
離婚の話合いのときに、養育費についても決められればベストです。
しかし、離婚時に話がまとまらなかった場合でも、離婚後に養育費を取り決めることはできます。
離婚後も相手と連絡が取れているのなら、養育費について話してみましょう。「相手と関わりたくない」という理由から話合いを避ける方もいますが、弁護士を代理人として交渉すれば、直接連絡をとらなくても大丈夫です。お悩みの方は相談してみると良いでしょう。
・養育費の金額はどうやって決める?
裁判所の手続で養育費を決めるとき、その金額は、ひとり親と相手方のそれぞれの収入、こどもの人数・年齢に応じて算定されます(もちろん、特殊な事情があれば考慮されます。)。具体的な金額は、裁判所がインターネット上に「養育費算定表」を公開しています。
例えば、子どもが1人(10歳)の母子家庭で、母親の給与収入が300万円、父親の給与収入が500万円、というケースでは、養育費は4~6万円となります。同じケースで、父親が親権を持つ場合には、母親が支払う養育費は2~4万円となります。なお、親権者の収入が高く、親権者でない親の収入が低いというだけでは養育費が0円となることはありませんが、親権者でない親が無職で、病気等により稼働能力もない場合には、養育費が0円となることもあります。
当事者間で話がまとまれば、算定表の金額より高くても低くても構いませんが、養育費の話合いの際には、算定表を目安にするとスムーズです。
もし話合いがまとまらなければ、後からご説明する「養育費調停」を行う必要があります。
・養育費を支払ってもらえないときは?
「養育費について決めたのに、相手が支払ってくれない…」というケースはよくあります。まずは相手へ支払うように連絡をしてみて、それでも支払われなかったときは、次の手段に進みましょう。
まず、養育費を口頭で決めた、または、書面を作成したけど公正証書ではない、という場合は、「養育費調停」を家庭裁判所に申し立てます。ここで金額や支払方法が合意できれば、「調停調書」が作成され、合意できない場合は「審判」に移行し、「審判書」が作成されます。
「調停調書」や「審判書」がある場合、または、養育費の取り決めを「公正証書」で作成した場合には、強制執行をすることができます。強制執行というのは、裁判所を通じた手続で、相手の預貯金や給与を差し押さえる(相手の預貯金口座や毎月の給与から、強制的に養育費を回収することができる)ものです。離婚の際には、相手の勤務先や持っている預貯金口座を把握しておくと良いですね。
この記事を書いた人
弁護士 坂本志乃 弁護士法人Nexill&Partners (旧:弁護士法人菰田総合法律事務所)
福岡県福岡市出身。九州大学法科大学院修了後、2016年弁護士登録。同年に弁護士法人菰田総合法律事務所入所。入所当初から離婚や相続等の家事事件を中心に経験を積み、中小企業支援に業務分野を広げ、現在は企業労務に注力している。