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コラム 支援・サポート 離婚・再婚

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再婚時の手続について

弁護士 坂本志乃

再婚は新たな人生のスタートを切る大切な機会ですが、特に子連れでの再婚では、法的手続や家族間での話し合いが不可欠となります。今回は、再婚時に知っておくべき手続や注意点について解説します。

 

1. 子連れで再婚をすると子どもの姓はどうなるのか?
ひとり親家庭において、再婚するとお子さんの姓がどうなるかは気になるところだと思います。原則として、再婚しても子どもの苗字は再婚相手の姓に変更されるわけではありません。つまり、何も手続きをしないままだと、離婚時に行った子の氏の変更手続きによる苗字のままになります。

したがって、子どもが再婚相手の苗字を名乗るためには、再婚相手との間で養子縁組を行う必要があります。また、養子縁組をしない場合でも、家庭裁判所に子の氏の変更許可申立てを行い、これが認められることで再婚相手の苗字を名乗ることができます。
特にお子さんが思春期以降の場合には、苗字が変わることでお子さんに心理的負担を課してしまうことも考えられます。そのため、養子縁組や姓の変更を検討するにあたっては、お子さんの意思を尊重しつつ、家族で話し合うことが重要となります。


2. 再婚時にやらなければいけない手続とは?
再婚の際に必要となる法的手続にはどのようなものがあるのでしょうか。まず、当然ですが婚姻届を市区町村役場に提出することが必要です。なお、再婚相手が外国籍である場合には、その他に国によって必要な書類の有無を事前に確認しておくことが重要です。

再婚相手が子どもを養子にする場合は、養子縁組届を提出する必要があります。養子縁組が成立することにより、再婚相手と子どもの間に法的な親子関係が発生しますので、養親も子どもの親権者となり、子どもは将来養親の財産を相続 することが可能になります。

さらに、再婚に伴う社会保険や年金、税金に関する手続も必要です。具体的には、社会保険や年金の被保険者情報の変更や、所得税の扶養控除の変更手続等です。

また、各市区町村では、ひとり親家庭に対する支援制度が設けられていますが、再婚後はこれらの支援が受けられなくなる場合があります。そのため、再婚する前に行政機関の窓口に相談し、必要な手続を確認しておくことをお勧めします。

 

3. 再婚時に気を付けておくべきこと
再婚に際しては、法律的な手続だけでなく、家庭内での心理的な問題にも十分配慮することが大切です。特に、子連れでの再婚の場合、子どもが新しい家庭環境に適応するまで時間がかかることがあります。
そのため、子どもが新しい親やステップファミリーに対してどのように感じているか、十分な話し合いを行い、子どもの気持ちに寄り添うことが大切です。

なお、これまで女性は離婚後100日を経過しなければ再婚できないという再婚禁止期間の制限が設けられていましたが、令和6年4月1日から改正民法が施行され、この再婚禁止期間の制限が廃止されました。そのため、女性も男性と同様に、離婚後いつでも再婚することができるようになりました。

 

再婚をするにあたっては、新しい家族となり子どもにとって少なからず精神的な影響がある以上、子どもの気持ちに寄り添いながら家族としての絆を育む努力が重要です。また、再婚に伴う様々な手続が必要となりますので、事前に専門家や市役所の窓口で相談し、必要な手続を早めに確認することをお勧めします。

 

この記事を書いた人

弁護士 坂本志乃 弁護士法人Nexill&Partners (旧:弁護士法人菰田総合法律事務所)

福岡県福岡市出身。九州大学法科大学院修了後、2016年弁護士登録。同年に弁護士法人菰田総合法律事務所入所。入所当初から離婚や相続等の家事事件を中心に経験を積み、中小企業支援に業務分野を広げ、現在は企業労務に注力している。