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コラム 子育てのこと 健康

ページ番号:236

感染症の流行期、家庭内でできる防御ルール

医師 稲津佳世子

感染症の流行期、小学校高学年のこどもを持つ家庭では、病児保育の利用が難しいこともあり、家庭内での予防が大切です。過度に恐れるのではなく、正しい知識に基づいた対策を「無理なく、確実に」実践することが、家族全体の安心につながります。予防の基本は、「手洗い・マスクの着用を含む咳エチケット・換気」の3つです。

 

感染ルートを知る

感染が広がる経路として、接触感染、飛沫感染、空気感染などがあります。

1.接触感染
文字通り触ることによって病原体が広がっていきます。予防するためには、まずは手洗いをすることです。
帰宅後やトイレの後、食事前の手洗いは、石けんを使って30秒程度。指の股や親指、小指の外側や手首など洗い残しが多いと言われています。水道を閉める時に洗う前の汚い手で触った所に触れてしまうと元の木阿弥なので注意しましょう。多少面倒かもしれませんがこどもが自ら進んでできるよう、「なぜ必要なのか」を丁寧に説明し、手洗いの習慣化を目指しましょう。

2.飛沫感染
咳やくしゃみ、会話などで唾液などが飛び散って感染を広げます。咳エチケットといわれますが、咳をする人がマスクをすることで飛沫が飛び散ることが防げます。また症状のある人から距離をとる事で感染リスクは少なくなります。

3.空気感染
飛沫より小さな病原体がふわふわと漂いながら感染を広げます。これを予防するためには換気が重要です。換気は1日数回、5〜10分程度窓を開けるだけでも効果があります。寒い時期は部屋ごとに時間を決めて行うと、負担が少なく続けやすくなるでしょう。
家族の中に咳や発熱などの症状がある人が出た場合は、食事の席を少し離す、タオルや食器を分ける、マスクを着用するなど、できる範囲で接触を減らす工夫をしましょう。ただしマスクは2歳以下のこどもや、自分でマスクを外せないこどもには使用してはいけません。窒息の危険があるからです。

感染による症状や対応、予防について

高熱のこどもがインフルエンザ脳症などでいきなり窓から飛び降りたり、異常な行動をとることがあります。高校生くらいのこどもでも要注意です。距離を取ることとは真逆ですが、特に熱が高いあいだは、こどもから目を離さないことが大切です。

こどもが小さいうちは、家の中でマスクをしたり距離を取ることは、現実的に難しいでしょう。いったん感染症が入り込むと、家族に広がらないように予防するのは非常に困難です。そのため、感染症予防において重要なのが「ワクチン接種」です。

ワクチンは、発症や重症化を防ぐ最も効果的な手段のひとつです。特にインフルエンザや新型コロナウイルスなど、重症化リスクのある感染症に対しては、家族全員が接種することで家庭内での感染拡大を防ぐ「バリア」となります。小学校高学年のこどもは、体力があるとはいえ、感染すれば学校を長期間休むことになり、学習や生活リズムにも影響が出ます。さらに、家庭内で高齢者や基礎疾患のある家族がいる場合、ワクチン接種はその人たちを守るためにも重要です。

情報があふれる中、何を信じてよいか迷うこともあるかもしれません。だからこそ、信頼できる医療機関や自治体の情報を確認し、冷静に判断することが大切です。
予防は「完璧」を目指すのではなく、「続けられること」を積み重ねることが鍵です。家族の生活スタイルに合ったルールを一緒に考え、無理なく実践していくことが、家族を守る最も確実な方法です。

 

この記事を書いた人

医師 稲津 佳世子

九州大学医学部卒。精神保健指定医、日医認定産業医。特定非営利活動法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ・福岡理事。BPW(ビジネスプロフェッショナルウーマン)福岡クラブ「福岡虹の会」会員。
心療内科医として一般内科や緩和ケア病棟、空港検疫所で勤務。医療政策経営管理大学院を経て、大学講師の後、在宅訪問診療クリニックの院長に。精神科病院勤務を経て、現在は介護施設の施設長として高齢者の身体管理等に従事。人生全体を見渡す臨床経験と自らの離婚体験もあり、ひとり親のメンタルケアに携わっている。