コラム 支援・サポート ひとり親の生活

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多忙でも受けておきたい健康診断、知っておきたい医療サービス

医師 稲津佳世子

ひとり親の方はお子さんの世話や家事、仕事に追われ、自分のことを後回しにしてしまいがちです。ストレスも多く、自分の健康のことを気にかける時間がなかなか取れないという方も多いのではないでしょうか。

しかし、あなたの健康こそが、お子さんやご家族にとって大切な土台になります。かく言う私もひとり親になって無我夢中で過ごしていた時、疲れがたまったせいか倒れて救急搬送されたことがあります。何日か入院することになりましたが、その時は近所の方や周りの方に本当によく助けていただきました。

ひとり親になること以外にも、何か新しい事に取り組む前には健康診断を受けることをお勧めしています。自分の健康があってこそ将来的な不安を軽減し、必要なケアを早めに受けることができます。会社で雇用されて仕事をしている方は、職場の定期健診がありますが、主婦や自営業の方などは意識的に定期的な健康診断を受ける機会を持つ必要があります。

もちろん自覚症状がある場合は、一般の医療機関を受診することになりますが、福岡市では、住民の皆さまが安価で健康診断を受けられる制度があります。ぜひこの制度をご活用ください。

これらの健診は、各区の保健福祉センターや指定医療機関で受診可能で、事前予約が必要な場合もあります。年齢や性別によって受けられる健診の種類があるため、詳細はお住まいの地域の保健福祉センターにお問い合わせいただくか、福岡市の公式サイト 福岡市けんしんナビ(よかドッグ)などでご確認ください。

健康診断は、心と体の状態を確認し、今後の生活をより充実させるための大切な機会です。特に、日常の忙しさから抜け出して自分自身の健康と向き合う時間は、心の余裕を取り戻すきっかけにもなります。もしも何か気になることがあれば、早めに専門の医師に相談することができ、安心して子育てに集中できます。

お子さんにとって、親であるあなたが元気でいることは、何よりの安心材料です。健康であることで、家族との時間をより豊かに、そして幸せに過ごせるはずです。自分の健康に投資することは、家族全体の幸福に繋がります。

日常の忙しさの中で、少しだけ時間を作って健康診断を受けてみませんか?その一歩が、あなたとお子さんの明るい未来を支える大切な基盤となることを願っています。

 

この記事を書いた人

医師 稲津 佳世子 

九州大学医学部卒。精神保健指定医、日医認定産業医。特定非営利活動法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ・福岡理事。BPW(ビジネスプロフェッショナルウーマン)福岡クラブ「福岡虹の会」会員。
心療内科医として一般内科や緩和ケア病棟、空港検疫所で勤務。医療政策経営管理大学院を経て、大学講師の後、在宅訪問診療クリニックの院長に。精神科病院勤務を経て、現在は介護施設の施設長として高齢者の身体管理等に従事。人生全体を見渡す臨床経験と自らの離婚体験もあり、ひとり親のメンタルケアに携わっている。