コラム 心のケア ひとり親の生活

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ひとり親自身が気を付けておきたいメンタルヘルス(心の健康)

医師 稲津佳世子

ひとり親として日々の生活を送る中で、心の健康を保つことはとても重要です。忙しい毎日の中で、うつ状態になったり不安が強くなったり、あるいは何度も確認しなければ気が済まないという強迫性障害を起こす可能性もあります。自分自身のメンタルチェックを行うためのポイントをいくつかご紹介します。

まず、睡眠と食欲に注目しましょう。疲れているのに眠れない、朝早く目が覚めてしまうなど、以前と比べて睡眠に問題を感じることはありませんか?あるいはだるく寝てばかりいるなど、睡眠に異常をきたしているときは脳疲労のサインです。

また、食欲がない、あるいは食べ過ぎてしまうなど食欲の異常も身体のストレス反応の可能性があります。月に2~3㎏以上体重が減った、あるいは急激に体重が増えたときには身体の病気が無いか注意が必要です。

ストレスのために自律神経が乱れ、吐き気や便秘・下痢などの消化器症状を起こすこともよく知られています。睡眠や食欲の異常はうつ病のサインである可能性があります。

環境の変化でうつ状態になることはよく知られています。楽しみにしていた新居、あるいは待ち望んだ昇進でもうつ状態になることがあります。環境変化に順応するために自分では意識していない大きなエネルギーを使っているのです。これはお子さんも同様です。

ひとり親になることで大きな環境変化があったとき、うつ状態になることはよくあることです。以前楽しめていたことが楽しめない、やる気が出ない、将来に関して悲観的なことばかり考えてしまう、周りから非難されているように感じるなどものの見方が暗くなったり、極端になれば死にたい気持ちになることすらあります。これは脳が疲れ切っているサインです。

睡眠や食欲、興味の喪失や抑うつ感などが2週間以上毎日続くときは、治療が必要になることがあります。周りのサポートを積極的に受ければ必ず回復しますので、早めに相談してください。

 

【参考コラム】短時間でできるメンタルヘルスのケア方法


イライラしやすくなったり、些細なことが気になり過ぎたり、気分の変化が激しくなっていませんか?こうした変化に気づいたら、自分に優しくし、無理をしないように心がけましょう。それでも改善しない場合は、専門家のサポートを受けることも考えてみてください。

ひとり親家庭支援センターでは月に1回、専門医による心の相談を行っています。どうぞお気軽にお問い合わせください。詳しくは
ひとり親家庭支援センターでできる相談について をご覧ください。

 

この記事を書いた人

医師 稲津 佳世子 

九州大学医学部卒。精神保健指定医、日医認定産業医。特定非営利活動法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ・福岡理事。BPW(ビジネスプロフェッショナルウーマン)福岡クラブ「福岡虹の会」会員。
心療内科医として一般内科や緩和ケア病棟、空港検疫所で勤務。医療政策経営管理大学院を経て、大学講師の後、在宅訪問診療クリニックの院長に。精神科病院勤務を経て、現在は介護施設の施設長として高齢者の身体管理等に従事。人生全体を見渡す臨床経験と自らの離婚体験もあり、ひとり親のメンタルケアに携わっている。