コラム 離婚・再婚 ひとり親の生活

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ひとり親になる原因、理由

医学博士 山下あきこ

こどものいる家族の中で、ひとり親の家庭の数はどのくらいの割合を占めているのでしょうか?2016年の時点で、母子家庭は10%、父子家庭は1.5%でした。これは20年前に比べると約2倍です。ひとり親家庭は年々増加しています。

ひとり親になる理由には、離婚、未婚、死別などがあります。

もっとも多いのは離婚で、約8割を占めています。国勢調査によると、2020年日本の離婚件数は約19万組でした。前年より少し減少していますが、人口の減少や独身者の増加によって夫婦の全体数も減っているからです。離婚する夫婦の割合が減っているわけではありません。結婚してから離婚するまでの期間については、離婚した夫婦の約3分の1は5年未満で離婚しています。こどもがまだ未就学の頃に離婚するケースが多いということです。ちなみに、離婚の原因のトップは性格の不一致だそうです。次いで、生活費を渡さない、精神的な虐待、異性関係などが多いようです。

未婚はひとり親の理由の8.7%を占めていて、年々増えています。親が結婚しないで生まれたこども(非嫡出子)は2001年1.74%でしたが、2016年には2.29%になっています。そうは言っても、世界の中で日本は未婚の母になる人が極めて少ないほうです。日本で非嫡出子が全体のこどもの中で占める割合は、3%未満ですが、アメリカでは40%なのです(2018年)。未婚の母が少ない理由としては、日本では未婚で出産することに対する世間の受け入れがまだ十分でないことが考えられます。出産といえば結婚、という考えがまだまだ一般的のようです。

死別によってひとり親になる割合は母子家庭で8%、父子家庭で19%です。

「ひとり親」と一つの単語で表されますが、それぞれの家庭にそれぞれの人間ドラマがあり、全く違う人生をみんな一生懸命に生き抜いています。あなたもきっとそうでしょう。自分の意思でひとり親の道を選ぶ人もいれば、思わぬことからひとり親になったかもしれません。これからますます、ひとり親となる人が増えます。それぞれが歩む道を認め合って思いやりを持ち、ひとり親の家族が暮らしやすい世の中を作っていきましょう。
 

この記事を書いた人

医学博士 山下あきこ 株式会社マインドフルヘルス代表
 
医学博士、神経内科・内科医師。二児の母。病気を治すより、健康づくりを行うことを決心し、病院を辞めて会社を設立。マインドフルネス、well-being、栄養、運動、睡眠、脱依存、習慣化という要素を軸にセミナーや本の執筆を行っている。