コラム 離婚・再婚 お金

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離婚後の年金分割制度とその注意点

ファイナンシャルプランナー 白浜仁子

離婚を決断する時、将来の生活設計のことも冷静に考える必要があります。そのひとつとして知っておきたいのは、年金分割制度です。預貯金などの資産を財産分与できるように、老後の年金も分けることができます。ここでは、年金分割について見ていきましょう。

*今記事では事例として、妻が分割を受ける側として解説します。当然に夫が分割を受けることも可能です。

 

1.専業主婦が請求できる「3号分割」制度
夫が会社員で、妻が専業主婦や扶養内パートの場合、妻は、第3号被保険者という立場で夫の扶養に入り国民年金に加入します。一方、会社員の夫は第2号被保険者として厚生年金に加入している状況のため、将来受け取る年金は、厚生年金と国民年金です。離婚時にこの不公平を解消するのが3号分割制度となります。

婚姻期間中の厚生年金は夫婦の共有財産とされ、妻は夫の厚生年金の加入記録のうち50%を請求できるのです。なお、国民年金は分割対象にはなりません。
 

2.共働き期間も分割できる「合意分割」制度
合意分割は、全ての婚姻期間中の厚生年金の記録が分割の対象となります。双方が第2号被保険者として厚生年金の加入者だった場合でも分割可能で、多い方が少ない方に分割します。

分割割合は、婚姻期間中の夫婦それぞれの厚生年金の記録(計算のもととなる給与などの報酬)を合算し、その50%が上限です。婚姻期間中に3号期間があれば、3号分割と併用することになります。


3.年金分割の注意点
3号分割は妻が単独で手続きを進められますが、合意分割は双方の合意が必要なため注意が必要です。合意が取れない時は家庭裁判所に申し立て、調停や審判で決めることになります。また、3号分割を請求できるのは3号分割制度に基づき、2008年4月1日以降の婚姻期間となっているため、それ以前は対象外となることも押さえておきましょう。

手続きは離婚が成立してからですが、年金分割のための情報を事前に調べることはいつでも可能です。年金事務所に「年金分割のための情報提供請求書」を提出して確認します。なお、年金分割の時効があり離婚をした日の翌日から2年以内となっているため早めに提出することが必要です。


年金は、老後の生活を支える大切なものです。離婚にはパワーが必要ですが、老後のことも後回しにせず並行して考えて行きましょう。

 

この記事を書いた人

白浜仁子 ファイナンシャルプランナーCFP® 
fpフェアリンク株式会社 代表 

元銀行員。結婚・出産後、FPの国際ライセンスを取得し2008年より独立系FPとして始動。資産運用、住宅ローン、保険見直し、相続などの相談をはじめ、ライフプランを基とした女性ならではのコンサルティングを行う。その他、セミナー・講演、執筆などに従事。