体験談 子育てのこと 心のケア

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子どもと向き合う時間を確保し、大切なことは何度も繰り返し伝える

40代 女性

2歳の頃からシングルで育てている子どもも今は社会人。金銭的にも時間的にも余裕がない中、いかに子どもと向き合うか。子どもに苦労を見せず、のびのび育てるか。常にそれが、ひとり親で立派に子どもを育て上げると決めた私の課題でした。

離婚してすぐは金銭的に余裕がなかったので生活を立て直すことを優先したい気持ちもありましたが、私の両親がいつも「三つ子の魂百まで」と言っていたので、幼いうちこそ心のケアが必要な時期だと考え、融通の効く非正規雇用で働いていました。とは言え、平日は仕事中心になってしまい、朝と寝る前しかゆっくり子どもと過ごす時間を作れないので、休みの日は一緒に過ごし、子どもの気持ちに寄り添うようにしていました。

小学校低学年の頃からは、正社員として働くように。手がかからなくなっても、目は離さずいたいとの思いから、学童保育から帰ってくる時には子どもを家で迎えられるよう、昼休みを削ってでも残業せず帰れるように心がけ、仕事と子どもとの時間の両立に努めていました。

小さい頃から子どもには、「自分で考えなさい」ということを何度も伝えてきました。答えを与えるのは簡単ですが、社会で生きていくのは子ども自身。厳しいようですが、自分で考えて行動する力をつけることが大切だと思ったからです。相談された時には子どもの話を鵜呑みにせず、意見を受け入れつつも、あえて別の視点からの意見を提示することで、物事をいろいろな側面から見ることができる柔軟性を育てるように心がけていました。また事あるごとに、いろいろな方々に支えられて今があることを伝え、「周囲の人を大切に」「感謝の気持ちを忘れず、今自分にできることを一生懸命やりなさい」ということを言ってきました。それもこれも、いざという時に子どもを守るため。だから子どもにも「親は最後の味方」ということをわかって欲しくて、いざという時に頼る場所があることと、その時に親が味方となり守ってあげられるよう、日頃から行動をするようにと伝えてきました。

おかげで大きな人間関係のトラブルもなく、高校を卒業することができましたが、専門学校に通っている頃に、行き詰った様子が見られるように。最初はいつもの通り、話を聞きながらもお尻を叩いていたのですが、ある日今までに感じたことのない危機感を感じたので、“最後の味方”として「そんなに苦しいならやめてもいいよ」と話しました。すると抱えていた思いを涙ながらに話してくれたので、心の中でもつれた思いを解くように、ゆっくり話をしました。すると安心したのか、壁を乗り越え無事に卒業し、幼い頃からの夢だった職に就き、生き生きと働いています。

社会人になって「人に恵まれている」「大切な人が増えている」とうれしそうに話す様子を見て、子どもの頃は私の話を鬱陶しそうに聞いていましたが、繰り返し言ってきたことが伝わっているかなと感じているところです。これまでの子育てを振り返って感じるのは、芯をもって子どもに向き合うこと大切さです。 親の言うことがコロコロと変わっては、何を信じていいのかわからないのではないでしょうか。大切なことは常に言い続けることで、聞いていないように見えても、しっかりと子どもの心に息づくのではないかと思います。