体験談 子育てのこと 心のケア

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子育てをして気づいた、親子のコミュニケーションの大切さ

30代 男性

小学2年生が終わる頃に両親が離婚し、母と兄との暮らしが始まりました。海外から離婚を機に日本に戻って来たので、日常生活も学校生活も一変。海外の小学校と日本の小学校は異なる部分が多く、なじめずにいました。いじめもあったのでストレスがたまったのか、寝ている間に全身に湿疹ができて泣いて起きるなど、体調にも変化が現れるようになりました。家から近い小学校ではなかったため、近所に友達もおらず、兄は荒れていたので相談もできず、どこにも逃げ場がない閉塞感を感じていたことを覚えています。

それから間もなく、学校に行くことができなくなり、不登校は中学卒業まで続きました。当時の記憶はあまりないのですが、母を恨むという気持ちをもったことはなかったと思います。ただ、仕事でほとんど家を空けている母に相談することはできず、自分のことに精一杯でした。状況が変わったのは、高校入学がきっかけ。学校で勉強だけではなくコミュニケーションを学ぶことができ、少しずつ自信を取り戻していきました。

現在は社会人になり、結婚して小学生の娘をもつ父親です。大人になり当時の母のことを考えると、どれだけ大変だったろうと思います。子育ての大変さがわかった今はそのことが身に沁みます。母との関係は良好で、連絡を取りあったり家族と一緒に食事に出かけたりしています。

ひとり親で育った経験をもつ私から伝えたいのは「〇〇をしてあげなくては」と気負わなくてもいいということ。遊園地に行かないといけない、旅行に連れて行ってあげないといけないと思うかもしれませんが、そういった経験は大人になって自分でできることです。それ以上にこども時代に大切なのは、親とのコミュニケーションではないでしょうか。こどもは思った以上に親の様子をよく見ています。忙しいのに無理をしてくれていることがわかると、遠慮して自分の気持ちを素直に表せられなくなります。子育てをするようになってから、こどもは自分の意見を聞き入れてもらいながら、親と一緒に何かを計画したり、作ったりすることが好きだということに気づきました。特別なことはせずともこどもと一緒に過ごす時間を大切にし、気持ちをきちんと言葉で伝えていればきっといい関係が築けると思います。