2024.12.25
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ひとり親を理由に仕事で不当な扱いを受けたと感じたら
子どもを育てながら働く場合、子どもの体調不良等で会社を欠勤したり、早退することは少なくありません。また、小さい子どもがいる家庭の場合、保育園や学童保育等の送迎で定時又は時短で退勤することも多いでしょう。
1.ひとり親が仕事をする際に直面する問題とは?
これはひとり親に限ったことではありませんが、遠方に祖父母が住んでいる等の理由から近くに頼れる人がおらず、また、病児保育も埋まっているなどで、ひとり親自身で対応しなければならないことがふたり親の場合と比較して多いのではないでしょうか。
欠勤や早退等を繰り返している場合、会社から「業務に支障が生じている」等といった理由で配置転換、一方的な勤務形態の変更、場合によっては退職勧奨、雇止め、解雇がなされることがあります。
また、時短勤務や残業の免除を理由に昇進の対象から外されてしまうことがあります。ただし、業務上必要な範囲での配置転換は必ずしも不当な扱いとは言えません。ここで問題にしているのは、ひとり親が法律上の制度を活用しているにもかかわらず、会社が上に挙げた対応を行っている場合です。
2.育児中の従業員が活用可能な制度をまずは活用しよう
育児介護休業法上、育児中の従業員が活用できる制度が複数ありますので、まずは制度を活用していきましょう。会社から制度の案内を受けていない場合でも法律上の制度ですので、対象者に該当すれば利用することができます。まずは会社に申し出てみてください。
ただし、場合によっては対象者から外れる場合がありますので、いずれにしても会社に確認が必要です。
① 子の看護休暇
② 育児短時間勤務制度
③ 所定外労働の免除
④ 時間外労働の制限
3.現職の継続を希望する場合に、会社以外の相談窓口はあるのか?
職場での問題を解決するために、会社内の相談窓口が利用できない場合や、会社の対応に納得がいかない場合は、外部の相談窓口を活用することが有効です。以下に、福岡における代表的な相談窓口を挙げます。
・福岡県福岡労働者支援事務所
電話:092-735-6149
所在地:福岡市中央区赤坂1丁目8番8号福岡西総合庁舎5階
サービス内容:労働問題全般に関する相談
・福岡労働局 各労働基準監督署
電話・住所:詳細は福岡労働局のホームページをご覧ください。
サービス内容:労働条件や不当解雇などに関する相談
・日本司法支援センター(法テラス福岡)
電話:050-3383-5501
住所:福岡市中央区渡辺通5丁目14-12 南天神ビル4階
4.相談をする際の注意点は?
相談を行う際には、適切な助言を求めるためにも以下の点に注意して事前の準備を行うことが重要です。
・証拠の収集
日々の出来事や会話の内容を記録することで、後々の証拠として役立てることができます。例えば、上司からの指示や指摘内容を記録し、具体的な日時や内容を明確にすることが大切です。場合によっては録音を行うことも一つです。
また、制度の確認や解雇事由の確認等で会社の就業規則を確認することが必要な場合もありますので、事前に就業規則の内容を確認しておきましょう。
福岡市では、さまざまな支援機関がひとり親家庭のためにサポートを提供しています。会社内で解決が難しい場合は、外部の専門機関に相談し、必要な支援を受けることが大切です。不当な扱いを受けたと感じたら、ためらわずに専門家に相談しましょう。
この記事を書いた人
弁護士 坂本志乃 弁護士法人Nexill&Partners (旧:弁護士法人菰田総合法律事務所)
福岡県福岡市出身。九州大学法科大学院修了後、2016年弁護士登録。同年に弁護士法人菰田総合法律事務所入所。入所当初から離婚や相続等の家事事件を中心に経験を積み、中小企業支援に業務分野を広げ、現在は企業労務に注力している。