コラム 離婚・再婚 ひとり親の生活

ページ番号:134

離婚後に相手の不倫が発覚!慰謝料はもらえるの?

弁護士 坂本志乃

「性格の不一致で離婚したけど、離婚後に、実は元配偶者が離婚前から不貞(不倫)をしていたことが発覚した!」ということがあります。

このようなケースでも、不貞をした元配偶者に慰謝料を請求できるのでしょうか。

  1. 離婚後に不貞が分かっても慰謝料を請求できる?

慰謝料は、離婚のときに請求しなくてはならないものではありません。そのため、離婚協議時に慰謝料について決めていなくても、離婚後、慰謝料を請求することはできます。
ただし、いつまでも慰謝料を請求できるわけではなく、元配偶者が不貞をしていたことを知ってから3年で時効にかかり、請求できなくなります。つまり、不貞を知ってから3年以内であれば、たとえ離婚から3年以上が経っていても、慰謝料を請求できるということになります(ただし、除斥期間といって、不貞行為から20年が経過したときは、不貞を知らなかったとしても慰謝料を請求できなくなります)。
また、慰謝料請求は元配偶者だけではなく、不貞相手にも行うことができます。ただし、元配偶者が独身だと嘘をついていた場合など、既婚者だと知らずに不貞をしてしまった相手には請求できません。
実際に慰謝料を請求するときは、時効の関係から、内容証明郵便を送る、訴訟を提起するなどの手段が一般的です。

  1. 慰謝料の相場はどのくらい?

請求する慰謝料の金額は自由に決めることができますが、通常、不貞慰謝料の相場は50万円~300万円程度と言われています。
金額に幅があるのは、不貞の期間、回数、婚姻関係の長さ、子どもの有無等の様々な事情によって変わってくるためです。
また、不貞が原因で離婚となった場合には、慰謝料が増額される傾向にありますが、離婚後に不貞が発覚したケースでは、不貞と無関係の理由で離婚していたといえるので、不貞が原因で離婚した場合と比べ、高い金額は望めないことが多いでしょう。
しかし、元配偶者の社会的地位が高い場合などは、不貞の事実を口外しない代わりに、高い金額で合意できることもあります。元配偶者が請求された金額を素直に支払うことはほぼなく、金額の交渉は重要ですので、慰謝料請求は弁護士に依頼すると良いでしょう。
そのときは、不貞の証拠が重要ですので、元配偶者が不貞相手とホテルに出入りする写真や、不貞を認める音声データなどがある場合には、きちんと保管しておきましょう。

この記事を書いた人

 

弁護士 坂本志乃 弁護士法人菰田総合法律事務所

 

福岡県福岡市出身。九州大学法科大学院修了後、2016年弁護士登録。同年に弁護士法人菰田総合法律事務所入所。入所当初から離婚や相続等の家事事件を中心に経験を積み、中小企業支援に業務分野を広げ、現在は企業労務に注力している。