コラム 子育てのこと 離婚・再婚

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スムーズな親子交流を行うために

弁護士 坂本志乃

ひとり親の方にとって、親子交流をどのように行うかは、悩みのひとつではないでしょうか。

親子交流って?
親子交流とは、子どもと一緒に暮らしていない親が、子どもと定期的に会って遊んだり、会話を交わしたりして交流することをいいます。離婚後だけでなく、別居中にも親子交流は行われます。親子交流は、あくまでも子どもの利益のために行うものですので、子どもを虐待していた等の事情がある親は、親子交流ができないことがあります。

親子交流の条件はどうやって決める?
親子交流は、月に何回行わなければならないという決まりはありません。父母で話し合って、子どもの年齢、それまでの交流状況、子どもの意向、生活リズムなどを考慮して取り決めると良いでしょう。
 親子交流をスムーズに行うためには、前もって、親子交流の内容・頻度などを決めておくことをお勧めします。面会以外にも、子どもとの関係性や距離の問題から、電話やメール・手紙などの間接的な方法で交流することもあります。子どもが小さければ、面会の際に、一緒に暮らしている親が同伴することもありますし、子どもが成長し、関係が良好であれば、宿泊を伴う面会など長時間の交流をすることも可能です。
 頻度は、「月に1回」ではなく、「毎月第2日曜日の10時~15時」というように、具体的な日時を決めておくと、毎回調整する必要がなくスムーズです。また、場所も、子どもを引き渡す場所を固定しておき、親子実施時にその場所から移動するという方法をとれば、都度決める手間もありません。

 以上は親が取り決める場合ですが、子どもがメール等で連絡できるような年齢になれば、子ども自身が調整することも可能です。なお、父母間で取り決めた内容については、後日、トラブルが生じないように、書面に残しておくとよいでしょう。もし父母間で話し合いができない場合には、家庭裁判所の調停という手続で、親子交流について取り決めることもできます。

親子交流の注意点
親子交流を安全に行うためには、ルールをきちんと守ることが大事です。例えば、約束の面会終了時間になっても引渡し場所に現れなければ、子どもが連れ去られてしまったのではないかという不安を生んでしまいます。
そのため、離れて暮らす親は、時間などの取り決めたルールを守ること、他にも、同居している親の悪口を子どもに言わないこと、高額なプレゼントを同居している親の了承なく与えないことなどに配慮しましょう。
また同居している親も、離れて暮らす親の悪口を言わず、子どもが楽しく面会を行なえるよう、快く送り出しましょう。

注)福岡市では、従来の「面会交流」から「親子交流」と表現するようにしています。これに伴い、記事公開時では「面会交流」と表現していましたが、「親子交流」に変更しました(2024年8月19日更新)。

この記事を書いた人

 

弁護士 坂本志乃 弁護士法人Nexill&Partners (旧:弁護士法人菰田総合法律事務所)

 

福岡県福岡市出身。九州大学法科大学院修了後、2016年弁護士登録。同年に弁護士法人菰田総合法律事務所入所。入所当初から離婚や相続等の家事事件を中心に経験を積み、中小企業支援に業務分野を広げ、現在は企業労務に注力している。