コラム 離婚・再婚 お金

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財産分与と税金

税理士 江原寛貴

離婚をする際に離婚の条件として財産分与があります。
財産分与とは、婚姻期間中二人で共有して築いた財産を離婚に際して二人で分配することをいいます。
財産分与による財産の移転には税金がかかる場合がありますので事前にどのような税金がかかるのか、どういったときに注意が必要なのかを知っておきましょう。
事前準備をすることで納税を計画的に、また節税の実現を目的に説明していきます。

まずは財産を受け取る側にかかる税金です。
原則として財産分与された側には税金はかかりません。
ただし、財産分与された財産が多すぎる場合や離婚が相続税や贈与税を免れるためと認められるときは贈与税がかかります。
また、不動産(土地や建物など)を受け取った場合は不動産関連の税金がかかります。
不動産の所有権移転登記に必要な登録免許税と財産分与後の保有期間にかかる固定資産税がかかります。
なお、原則として不動産取得税はかかりません。

次に財産分与をする側に係る税金です。
財産分与で不動産や株式など(所得税法上の資産)を渡した場合に、その資産が購入時より値上がりしているときには譲渡所得税がかかることがあります。

ここでは、財産分与で多い事例の自宅の財産分与に絞って譲渡所得税の計算方法と節税について説明します。
譲渡所得税の計算は、【財産分与時の不動産の時価-購入金額(※一部劣化を調整した金額)-売却にかかった経費】の残額に対して保有期間が5年超であれば20.315%、保有期間が5年以下であれば39.63%の税金がかかります。
ただし、これに対しては節税策があり「マイホームを売った場合の3,000万円の特別控除」を活用することで上記【】の残額から3,000万円を引けますので税金がかからないケースが多くなると思います。
注意点として「マイホームを売った場合の3,000万円の特別控除」は夫婦間での譲渡は適用できないので離婚後に渡し、渡した人が確定申告をする必要があります。

その他、離婚後住宅ローン控除を検討している場合や婚姻期間が20年以上の場合は検討する事項や節税策が多くなります。
財産分与での財産移転は財産の種類やタイミング、確定申告の有無で税金の金額が変わる可能性がありますので税務署や税理士に事前相談をお勧めします。
事前準備をすることで計画的な納税や節税を実現しましょう。

この記事を書いた人

税理士 江原寛貴 中村勇樹公認会計士税理士事務所

 

1988年生まれ。佐賀県小城市出身。西南学院大学卒業、税理士法人勤務を経て2015年中村会計事務所に入所。法人、個人事業主、相続税・贈与税を担当。2022年税理士登録。